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2006年1月 最高裁判決について

 
三権分立を考察

 2006年1月、貸金業者にとってまさに死活問題となる最高裁判決が下された。
以前から利息制限法で定める、年20%を超える利率についての支払い分の有効性については議論がなされていた。弁護士や司法書士の一部の人間もその超過分の支払いは違法とする主張をする者もいたのだ。
しかし、当時の現行法である貸金業規正法43条において、「みなし弁済」というものがあり、顧客が任意で支払ったものは有効とする条文に基づき、裁判所の判決でもその正当性を認めてきたのだ。
 ところが2006年1月、事実上みなし弁済を無効とする判決が最高裁判所で下され、貸金業界は混迷の時代を迎えることとなったのである。
大規模な消費者金融会社のリストラ改革により、職を失う人々がごったがえした。

 この最高裁判決は腑に落ちない点が多々ある。
まず、裁判所の仕事とは何なのか、である。裁判所というものは、現行の法律に照らし合わせ、その範囲内で判決を下すのが本来の役割の筈だ。ところが、この判決はその枠組みを大きく逸脱し、越権ともいえるような行為であることに諸君はお気付きであろうか?
なぜならば、前述したように裁判所というものは、現在の法律の中で判決を下さなければならないにもかかわらず、一方の法律(出資法の上限金利29.2%)を勝手に消し去ってしまったからである。
これは立法行為にあたるのではないだろうか。立法行為は三権分立の原則によれば国会議員のみに与えられた権利の筈である。その三権分立の原則を無視したともいえるこの判決は、正に憲法違反の疑いさえ持たれるのだ。事実、他方でも同主張を訴える専門家が大勢いる。
うがった見方といえばそうかもしれないが、実はそうでもないのだ。話はそれるが、自動車の交通事故の裁判がいい例だと思う。人を死に至らしめた交通事故、遺族からすればこの犯人は極刑にしてほしいと思うのは当然であろう。しかし、実際に裁判ともなると極めて軽い判決が下されることはめずらしくない。
その度に裁判官はこう言うのだ。「遺族の心情は十分に察する。しかしながら現行の法律で裁くには限界がある。」と。中には、「早急な法整備を」と訴える裁判官もいるのだ。
つまり、裁判官は現行の法律の枠内でのみしか判決を下せない。しかし、法律を勝手に変える権限もないので、早急に法の見直しを国会議員は検討して下さい。と、言っているのだ。
もうお気付きだと思うが、矛盾してはいないだろうか。一方では裁判官の権限を越えた行為をし、一方では現行の法律上、これ以上は裁けないと言っているのだ。
しかも越権した方はお金の問題だ。一方の法を遵守した方は人の命がかかった問題なのである。
これから陪審員制度も導入される時代だ。
今一度、法のありかたを真剣に見直すことが急務ではないだろうか。