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減った「多重債務者」の現実・実は隠されただけ

 
このほど、自民党の消費者問題調査会で金融庁は「無担保無保証借入の残高がある者の借入件数毎登録状況」(全情連の集計による)から、「五件以上の借入がある者は百二十五・四万人に、残高金額は十二兆三千三百五十一億円にいずれも減少した」との記事があった。
 だがこれは、金融庁の公表資料をすべて見た上でその意味を考えてみるべきだろう。なぜなら、その報告
により「多重債務者が減少し法の効果が出た」と単純に評価する雰囲気で流されたからである。
 この資料は、昨年二月から十二月までの推移が、借入の残高有り件数毎にまとめている。五件以上の件数は二月の百七十六・八万人から十二月の百二十五・四万人に五十一・四万人減少、一方、一件から五件以上までの合計人数は一千百七十二・五万人から十二月の一千百三十六万人に三十六・五万人減少している。五十丁四万人と三十六・五万人の差は、一件及び二件が増加していることによるものだ。
 問題は、五十一万人も減少した「五件以上」の人達が、どうなっているのかという視点で見なければなら
ないということだ。
 関係者はこう話す。 「全情連加盟業者という『表の世界』で減少しただけであり、水面下に隠れて『見えなくなった』人達が多く含まれると考えられる」。
 つまり、全情連加盟会社からの借入は各社が与信を強化した結果減少したが、それ以外の代替先に借入先をシフトしているというわけであり、そのシフト先はヤミ金融である場合も多く含まれるだろう。だから、単純に喜んでいいのかという問題になるのである。
 残高金額で見れば十三兆八千百十九億円から十二兆三千三百五十一億円に一兆四千七百六十八億円減少したが、十一月十二月の二カ月間だけで三分の一に当たる四千二百十三億円が減少している。この二カ月間の人数減少は全体で十五万人、五件以上で十三・二万人。これだけの規模が一気に縮小されたことをどう見るのか。
一方、廃業による情報の消失も「水面下に騒れて」情報機関登録人数の減少につながる問題だ。
 全情連が公表している加盟金貞リストによれば、二月二十四日現在での会員社数は一千六百三十八社で、昨年三月末時点の一千九百三十四社から約三百社減少した。
 現状の会員契約では、廃業して貸金業登録業者でなくなった場合には、会員資格を喪失するので全情連からは退会する。退会と同時に登録していた信用情報も抹消される。過払い金返還請求の影響などにより廃業時に同業他社に債権を譲渡しにくい環境となっていることから、これら廃業会員が回収のみで保有している債権は少なくない。仮に、一社百人の債権を持っていたとしても三万人分の情報が減少することになる。
 ところで、「延滞情報の登録がある者」は、二月の百七十四・九万人から十二月の百九十万人にじわじわ
と増加している。全体に対する割合で見れば、一四・九%から一六・七%に上昇しているのだ。「多重債務
が減って良かった」などというが、全体の市場リスクが上がっていることとの矛盾をどう説明するのか。

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