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多重債務者問題〜カウンセリングの重要性

 
多重債務者問題が社会問題となっている。
多重債務者は社会的立場からすれば、弱者である。従って、何らかの救済処置が必要であることは確かだ。だが、その救済処置に関しての手法が問題ではないだろうか。
過払い金返還請求しかり、なんでも法律でがんじがらめで縛り付ける方法よりも、むしろ多重債務者のカウンセリングが重要である。

欧米でも返済計画を策定し債務者を支援する仕組みが充実しており、延滞減少につながっているとの新聞記事を見つけた。
上限金利の規制強化で融資基準が厳しくなり、借りられずに困っている人への配慮も必要だというのだ。まったくその通りである。
また、金利規制強化の副作用として、借りて不幸となった人々の救済処置であったはずの改正貸金業法だが「借りられず不幸となる」人々を生むこととなったのだ。
事実、上腿金利引き下げを受けて貸金業著は融巽基準を厳格化し、貸し倒れリスクの高い顧客層への融資を敬遠しているのが実情だ。
こういった問題も包括的に考えた場合、はたして上限金利規制が多重債務問題の根本解決となり得るのかどうかが疑問なのである。

実は多重債務問題を金利規制で対応しようとする国は先進国では異例であり、アメリカなどでは、上限金利は事実上存在しない。イギリスも同様で、自由金利の市場が長年定着、様々な金融商品が消費者等に幅広く供与されている。
これらの国で重きを置かれているのは、贅金需要者への金銭教育・救済の手法として金銭カウンセリング
制度が社会に浸透していることだ。
アメリカでは1960年代から非営利の金銭カウンセリング団体が次々と設立され、実に2千以上の金銭カウンセリング事務所が活動しているのだ。年間250万人もの多重債務者等がこの制度を利用し、症状の重い債務者に提供されるDMP (ロ打btManagementP−an)と呼ばれる返済計画の策定が功を奏しているのである。金銭カウンセラーの運営費は主に債権者からの寄付によって賄われ、債務者がDMPに基づき月々返済する都度、その返済額の約8%が上部組織を通して事務所に支払われる。

こうした仕組みの結果、「借りて不幸」となった借り手は債務整理という経済的恩恵だけではなく、カウンセリングを通じて金銭管理能力を学習したのである。
しかし日本では、金銭カウンセリング機能は市場規模に比して脆弱なのが実情だ。その理由として、第一に貸金業暑が借り手救済に関心を払わなかった、第二に債務整理が非弁行為として弁護士と司法書士に独占されている。第三にグレーゾーン金利での契約は過払い金返還請求の対象となり、弁護士や司法書士は債務整理の際、成功報酬(返済額の20〜30%)として、貸金業者からの返還額の一部を着手金に加えて受け取るため、債務者を継続的にケアしようとする動機付けが起こりにくい。第四に貸金業者と弁護士の間でグレーゾーン金利のあいまいな法律解釈をめぐり、対立が先鋭化してきた、などが考えられる。
 しかしながら、先に指摘した金銭カウンセリングの効用と比較して、現状の日本における債務整理を主眼に置いた解決策では、「借りて不幸」となった利用者の本質的な救済とならない。筆者らの研究グループが2007年に消葉音金融の利用者に対して実施したアンケート調査でもそのことは明らかである。
 アンケート調査をもととした対象グループとして、現在利用者のうち返済困難に陥っている利用者を「返済困難者」とした(現在利用者の25%)。また、過去利用者のうち自己の収入で完済した利用箸を「完済者」、債務整理に陥った利用者を「債務整理者」に区分した。 この固から「完済著」の自己統制力と社交性は
中間点(五摺)の近傍にバランスよく位置することが分かる。一方、「返済困難者」と「債務整理者」の自己統制力は低く、ほぼ同水準にある。ただし、「債務整理者」の社交性は「完済者」を上回るレベルにある。
 「債務整理者」の社交性が高い理由として、債務整理に際して周囲への告白や援助を受けることで育成された、返済困難者のうち社交的な債務者が進んで債務整理を通釈した、などが考えられる。

法的手当ての検討が必要

 ここで注目すべきは「債務整理著」の自己統制力が依然未発達な点であり、これが再発の原因となり得ることだ。同時に、「債務整理者」の高い社交性は広い交友関係を意味するが、これは自己統制力の低い状況では好ましい傾向ではない。筆者bの調査では、ヤミ金融への接触者には自己統制力が著しく低く、社
交性は著しく高いという偏った心理特性が確認された。つまり、金銭カウンセリングを伴わない債務整理は完治していない病人を退院させ、自然治癒に委ねる行為に等しい。
前回の法改正では「借りて不幸」となった債務者への心理的ケアについて充分に検討されたとはいいがたい。同時に、「借りられず不幸」となった人々への配慮が十分だったか疑問である。
「上限金利を下げると信用リスクの高い人も低金利で借りることができる」といわれたが、現実は異なった。今回の調査でも「零細企業経営者」「労務職従事者」「派遣社員」といった属性で融資を拒絶される割合が高い。
また、これら借用リスクの高い属性の人々が金銭管理能力の面で未熟であるという根拠も確認できない。
 本来求め一々れる多重債務者への救済策は金銭カウンセリング機能の充実にある。例ぇば、途上与偉の一恵とレて心理テストを必要に応じ利用者に実施し、心理的問題が顕在化した時蟄金銭カウンセリング簸導するシステムを構築ずべきである。その乗用は市場から拠出させ、独立した民間の専門カウンセラーに対処させるべきだ。今後、法的手当てを伴った金銭カウンセリング制度と金利規制のありかたについて検討が期待される。